生物の驚きの習性ニワシドリ・カマキリ編|斜め上の自然の法則を推測

私が昆虫に興味があるのは、そこに自然の法則が働いていることがわかるからです。

昆虫に限らず、自然界にあるものは、一つの例外もなく、自然の法則に則って生命を繋いでいます。

唯一、そこから外れた行動をするのは人間くらいです。

人間だけが、同じ種で殺し合うという、野蛮な行動をとります(このあと登場するカマキリは共食いをするではないか!という屁理屈はご遠慮ください)。

今回は、BS4Kで放送していたこちらの作品から、個人的に感動したことを伝えしていきたいと思います。

大自然シリーズの「命をつなぐ生きものたち」は、Silverback Films、BBC、Discovery、bilibili、France Televisionsの各社の共同制作。

「プラネットアース」の制作に関わっていたメンバーが設立した「シルバーバックフィルムズ」を筆頭に、イギリス国営テレビのBBC、ディスカバリーチャンネルの「ディスカバリー」、中国の動画会社「ビリビリ」、フランステレビジョンズという組み合わせです。

【麻倉怜士の4K8K感動探訪】NHK BS 8K「国際共同制作 恋する生きものたちの挑戦」は自然科学番組の最高傑作(2)〈連載28〉 | 特選街web

番組のクレジットでディレクターと表記されているのが、井上大志さん(NHK放送総局大型企画開発センターディレクター)、制作統括に岩崎弘倫さん(NHKエンタープライズ第2制作センター自然科学部エグゼクティブ・プロデューサー)などNHKをはじめ、各社のスタッフが関わっています。

裏話として特に面白かったのは、イギリスの撮影クルーの「マナー」です。

「ひじょうに苦労が多かったです。NHKで自然番組を作るには、機動性を重視します。カメラ、三脚、レンズは持ち運びがしやすさから選ぶことが多いのですが、イギリスのクルーは使う機材がまったく違いました。最初から映画の撮影用の大型の三脚、シネマレンズを使って高精細を撮ることに、とてもこだわりがありました」

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日本とイギリスの撮影クルーの方向性の違いがよくわかって、非常に興味深いエピソードです。

「動物が画面を横切る時には、われわれは横にパンして動物の動きをずうっと追いかけるのですが、イギリスはフィックスで撮影します。動物が横に移動する時も、固定画面の中に左から入って、右に出るという映像になります。これは映画の撮影の手法です。それも本番組の映像の良さにつながっています。画面全体にピントが合う、パンフォーカスじゃなくて、背景をアウトフォーカスにすることでも、こだわっていました。また野外の撮影では、少しでも曇っていると、もう撮影をしない日が結構ありました。自然の太陽光や角度に非常にこだわって撮影しました。なので、陰翳がひじょうにきれいに出ています」。

撮影の進め方も勉強になったという。デイリー(その日撮った映像の試写)では、厳しく評価した。「その日に撮れた映像を夜にスタッフが見直します。お目当の映像が撮れたと思っても、少しカメラがブレたり、パンしたり、画面が動いていたりすると、NGになってしまいます。星を 1 つ、星を 4 つという感じで採点し、使えるか使えないかの判断を数で決めることを毎日の習慣にしていました。イギリスチームの映像へのこだわりは、時間をかけられる大型シリーズならではのものでした」

同上

その映像の凄さは、シリーズを見てもらえれば一目瞭然です。

どうやって撮影したのか想像を絶するショットや、驚嘆せざるを得ない自然の造形美がこれでもかというほどに味わうことができます。

ということでここからは第三集で取り上げられていた生物についてご紹介します。

塔をたてる鳥「カンムリ ニワシドリ」

英語では「MacGregor’s bowerbird」

漢字にしてみると「庭師鳥」

庭師。。。

bower birdは、直訳すると「あずまや」と「鳥」

ニワシドリがたてる建物のことを指していると思われます。

それにもましてこの鳥がすごいのは、「モノマネ」です!

「モズ・百舌鳥」という鳥も、他の鳥の鳴き声を真似ますし、九官鳥なんかも人の言葉を覚えることが知られてますが、この「カンムリニワシドリ」は、モノの音から、人の声から、あらゆる動物の鳴き声まで、なんでも真似てしまうという頭脳の持ち主。

しかもこの高いタワーを作るのは、単純に「メスの気を引くため」だと考えられているとか。

合理的な栄養摂取をする「ニセ ニワ カマキリ」

続いてご存じ「カマキリ」です。

どうやら、英語の「False garden mantis」をそのまま日本語に訳したらしい「ニセ ニワ カマキリ」というカマキリ。

学名はPseudomantis albofimbriata(読めません)。

以下の記事によると、1860年には発見されているそうです。

False garden mantis – Wikipedia

カマキリといえば、メスがオスを食べてしまうことは、割と有名です。

この「ニセニワカマキリ」のオスは、驚くべき(想像の斜め上をいく?)戦略で子孫を残します。

それがこちらの画像(心臓の弱い方はご遠慮ください)

出典:ニセニワカマキリの交尾 |  薬理学などなどなど。

画像の中で「赤マル」がついているところは、オスの頭部があったところです。

メスは、交尾をしようと近づいてくるオスの頭を真っ先に「もぎ取って」食べてしまいます。

さらっと書きましたが、文字通りその通りです。

頭がないので、もうあとは体も食べられて、交尾はできないと普通なら考えると思います。

しかし、この「ニセニワカマキリ」は、ここからがすごい(他のカマキリでもあるようです)。

この「頭を食べられてしまったオス」実はこのあと、数時間は生き延びます。そしてその間に、メスと交尾をしてしまうのだそうです。

人間の基準で考えると、かなりグロいです。ホラーです(笑)

しかし、自然界には法則があり、その法則にはきちんとした理由があるはずです。

少なくとも私はそう考えます。

なぜ、カマキリはこのような方法を選んだのか?

カマキリの気持ちになって考えてましょう。

なんでメスのカマキリは交尾中にオスをたべちゃうのか | ギズモード・ジャパン

上の記事では、この方法がいかに効果的かということが語られています。

しかし、なぜカマキリや蜘蛛がこの方法にたどり着き、今も続けている?というところです。

一つ思いついたのは、

「カマキリは意外と狩りが下手なので、より確実な方法をとった個体が生き残ったことで、このような行動をするカマキリが増えたのではないか?」

ということです。

実はカマキリ、小型の「鳥」を狩ってしまうということもあるようです。

この行動を「勇敢なカマキリだから鳥をハンティングするのだ!」と考えるのか、それとも「目がよく見えてないから、そんなに大きくないサイズの獲物だからとりあえず鎌ふっておいた」、と捉えるのかで、印象は大きく変わると思います。

個人的にはますます「目が悪い説」が信憑性を帯びてきた気がします。

そもそも目が見えていないから、オスも認識できていない説…。

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