庭の小さい木に鳩が巣を作ってしまって少し困っていたので、とりあえず観察からということで、撮影した動画から、なんかそれっぽい動画を作ってしまいました。
誰もが知っている「鳩」の、ほとんど知られていない、そして、ほとんどの人が興味のないであろう、可愛すぎる鳩の習性をざっくりとご紹介していきたいと思います。
鳩のすごいところ10連発
まず知ってほしいこと。それは彼らは食べるためだけに生きている。ということです。当たり前と言えば当たり前ですが、人間以外の自然界の生物はもれなく、これが生きていることの全てです。
人間も少し前までは食べて生きることだけが全てでしたが、時代が進むにつれて、食べて生きる以外の意味を人間自身が求めるようになっています。
そんな視点も持ちつつ、鳩の生態を知って、何かしらのヒントにしていただけたら嬉しい限りです。
では早速、まずはこの10個の鳩のすごいところをご覧ください。
- 鳩胸の正体は〇〇
- 鳩が首を振って歩くのは〇〇のため
- 他の鳥に比べて水の飲み方が〇〇
- 他の鳥と比べて繁殖時期がおかしい
- 他の鳥と比べて繁殖行動がおかしい
- よく見る鳩は実は全て〇〇だった
- 鳩が繁殖したのは〇〇のおかげ
- 在来種が生き残った理由は〇〇
- キジバトは鳩では珍しく〇〇をする
- 埼玉の鳥シラコバトは〇〇だった
〇〇が多くて気になりますね!では続いて一つ一つ詳細を見ていきましょう!
鳩胸の正体は〇〇
<鳩胸の正体はボディビルダー顔負けの「胸筋」>
「鳩胸」という言葉は聞いたことはあれど、その意味がどう言ったことなのか、言われてみればよくわからない。
この鳩胸の正体は、実は強力な「筋肉」
この筋肉で羽を素早く動かすことができ、危険を察知したらすぐに逃げることができるのです。
言われてみると、鳩って飛び立つ時ものすごい「羽ばたき音」がしていることに気づいた人も多いのでは?
何かが軋むような。
あれは、この強力な「鳩胸=筋肉」があってこそのものなのです。
鳩が首を振って歩くのは〇〇のため
<鳩が首を振って歩くのは食事を確実に見つけるため>
首と振って歩くと表現されることが多い鳩。
個人的にはちょっと表現が違うと感じます。
パントマイムを想像してもらうとわかると思いますが、先に首がある地点で「固定」され、後から体がついてくる。この動作を繰り返していると言い換えることもできます。
真横に目がついている鳥は、目の構造上、視界がブレるのが普通。
そこでブレブレのままでは生きるか死ぬかを左右する「食事=種・種子」を見逃してしまう。
これらの弱点をクリアするために、(一部の)鳥は餌を探しているときに「首を振る」という方法をとっているのです。
鳩は陸上で餌を探すことが多いのでよく目撃され、有名ですが、よく見るとカルガモも「水上(水中?)」で餌を探している時は、首を振っています。
カルガモは陸上を歩いて移動しているときは、餌を探していないので首は振らずに歩いている様子がわかりますね。
次!
他の鳥に比べて水の飲み方が〇〇
<他の鳥に比べて水の飲み方が異常>
異常…。
表現としてはざっくりすぎて申し訳ないのですが、まず、鳥は通常水を「吸う」ということができません。
私も最近まで知りませんでしたが鳥は水を吸って飲めない。
ではどうやって飲んでいるのか?実はこんなふうに水を飲んでいます。
「嘴を水に入れてから、首を上げて喉まで流し込む」というのが鳥の標準的な水飲みスタイルです。
しかし鳩はこのように飲みます。
人間でもこんなゴクゴク飲まないよってくらい、ゴクゴク飲みます。
「喉越し」の美味さをともに分かち合えるのは、人間か、鳩くらいですね(笑)
なぜ鳩がこのような飲み方をしているのか?様々な説がありますが、やはり、食べているものと関係していることは間違いないと考えられます。
先ほどの「カルガモ」は水辺で餌を摂っていました。反対に鳩は陸上でしか餌を探しません(水中で種を食べる鳩もいるかもしれませんが)。まずここで食事をするときに水分を食べ物と一緒に摂取するということが、鳩には起こりにくいことがわかります。
また鳩が主食にしている「タネ=種子」は、水分が20%未満しかありません。水が「キッカケ」となって「発芽」に繋がるという原理ですね。
植物のほとんどは水でできていますが、多くの種子の水分量は約5~20パーセントしかありません。水分だけでなく、水溶性の栄養分や酸素の量も少なく、これは、一種の“休眠状態”と考えることができます。代謝や細胞分裂などが行われることなく、ただ休眠しているのには、もちろん理由があります。それは、通常なら植物が耐えられない悪条件下でも、生き抜くことができるからです。そして、いつか自然環境が整えば、発芽ができるように設計されているのです。
水の科学「植物と水」 水大事典 サントリーのエコ活 サントリー
このため鳩は、食べ物とは別の機会に水をしっかりと摂取する必要があり、嘴から吸い上げて飲めるようになったと推測できます。
そもそもなぜ鳩は「タネ」を主食にしたのかということも疑問ですが、他の鳥と餌場が被らないようにするために、そうした。というのはあまりにも乱暴な推論なので、今後の課題にしたいと思います。
ちなみに、都市部の鳩は人間から与えられた餌を食べますが、カラスなどとは違い「植物性のもの」しか食べないようで、食の変化はあるものの、元々食べていた「種子」と似ているものしか口にしないようです。
他の鳥と比べて繁殖時期がおかしい
多くの鳥は「繁殖期」が決まっていますが、鳩はもちろん例外。
一年中、繁殖OKなのだとか。
ただし親鳥の健康状態に依存するので、キジバトは4月から10月が一般的だそうです。
これはほぼ一年中食べることができる主食の「タネ」とも関係していると考えられ、これが他の鳥とはいろいろなところで違う「鳩」を「鳩」たらしめている特徴です。
しかも生まれてくる子ども(雛鳩)にも、他の鳥類とは違い「ピジョンミルク」という、母乳のようなものを与えて雛を育てます。
このピジョンミルク、哺乳類以外で母乳のようなモノを与える動物は、非常に珍しいと言われています。当然ですが、他の多くの鳥は「母乳」は出しません。
どこからどう見ても、鳩にしかない「生存戦略」というわけです。
他の鳥と比べて繁殖行動がおかしい
鳥類では珍しく、寝床(眠るところ)と雛鳥の巣(子育ての場所)が同じなのが鳩。
普通の鳥の場合、普段寝泊まりしているところと、繁殖期間だけ作ることになる「子育ての場所」は別になるそうです。
しかし鳩は、寝泊まりするところと生まれてきた雛を育てるところが一緒。
人間からしてみたら、当たり前ですが鳥はこれが普通ではないようです。
例えばツバメは子育て期以外は、仲間のツバメたちと集団になって眠る「集団ねぐら」と言われる場所があります。そして子育て期だけは、メスが巣で雛鳥と一緒に待機し、オスが昆虫などの餌を巣に持ち帰って子育てをします。
元々は鳩は「断崖絶壁」のようなところ寝床にしていた鳥で、餌場(タネがあるところ)と水場を毎日行き来する習慣だったと言われています。
その習慣を変えなてくも十分に生きられているということでしょうか。
ただ都会の鳩は、この「寝床=巣」の位置がコロコロ変わるので、中には家の中に巣を作られて糞だらけになった、という声もよく聞きますね。
よく見る鳩は実は全て〇〇だった
<よく見る鳩は、実は全て改良種>
アブラナ科の「ケール」のなかで、「くるっとまるまる遺伝子を持ったタネ」を掛け合わせてできたモノ、それが「キャベツ」です。
元々「ケール」だったのが、「キャベツ」です。
同じように、私たちが普段よく見る「ドバト」はすべて「カワラバト」の子孫だと言われます。
古代エジプトの頃には、鳩を家畜化していた記録があり、聖書の「ノアの方舟」にも鳩が登場します。日本では奈良時代に、白い鳩を天皇に献上していたという記録が残されています。
ちなみにドバトは「外来種」で、キジバトは、日本に元々いた「在来種」といわれます。
キジバトがいた奈良時代に、外国からドバトがやってきた(連れてこられた)という順番だそうです。
鳩が繁殖したのは〇〇のおかげ
<鳩が繁殖したのはアメリカのおかげ>
実は明治時代から第二次世界大戦後の1958年頃まで、猟銃が一般化され、鳩は狩猟鳥のなかにリストアップされていたため猟の対象になり、都市部からは姿を消していたといわれています。
その状況を変えたのが戦後から日本を「占領」していたアメリカGHQ。
「愛鳥思想」がGHQ主導で取り入れられました。
愛鳥週間の起源は、1947年に「鳥類保護連絡会議」(当時の文部省・農林省・東京都・日本鳥学会・山階鳥類研究所・新聞社・放送関係などからなる会。後の財団法人日本鳥類保護連盟)が、アメリカの「バードデイ」にならって開催した「バード・デイのつどい」。同会議は、1946年にGHQ(占領軍総司令部)から「国民全般に鳥類についての正しい知識と愛護思想を普及するため、学校教育・社会教育に取り組んで欲しい」との提案を受けて組織された。当初は4月に開催されたが、1950年からは5月に変更。同時に、1日だった行事を1週間にした。
環境用語集:「愛鳥週間」|EICネット
その中でも特徴的なのが、公園での鳩の餌やり。
50代以上の方ならよく知っている光景のようですが、昔はあらゆる公園で鳩の餌が販売され、誰でも鳩に餌をあげることができたのでした。
現在では鳩の餌やりは禁止されているところがほとんどです。増えすぎて逆に迷惑ですからね。
この「公園の鳩への餌やり文化」は、GHQの「愛鳥思想」を広める政策が関係しているようです。
この時期に「埼玉県の県鳥」として有名な「シラコバト」も「天然記念物」に指定されます。シラコバトは外来種の「ドバト」の変種なので、生粋の日本人にとっては「??」が浮かんでしまうかもしれません。
在来種が生き残った理由は〇〇
<在来種キジバトが生き残った理由はテキトーさ>
シラコバトやドバトとは違い奈良時代以前から日本に住み着いていた鳩である「キジバト」
「デデー、ポッポー。デデー、ポッポー。」という鳴き声の正体は、このキジバト君です。
キジバトは元々は樹木に巣を作る生活でしたが、都市部に進出してからは、木の上だけにこだわらず、色々なところに巣を作ることがわかってきました。
「テキトー」と表現してしましましたが、これはどちらかというと「柔軟さ」といった方が正確です。
一番上のショート動画でも最後にキジバト君が残していった「巣」の写真がありますが、あれは、キジバトの一般的な「巣の作り方」だそうです。
他の鳥見大尉に「お椀がた」の巣は作らなくても、卵を産んで育ててしまうのだそう。
「生き残った理由は環境に適応したから」と言いたくなります。
生物進化とか歴史の分野では割と有名な考え方だそうです。
元々持っている生活習慣でも、不要になったら捨てる。その柔軟さを持ってる種のみが現在も生き残っている。
今現在いないということは、環境の変化に適応できなかったということ。
キジバトも常に人間に近くありながら、ちょっとずつ生活習慣を変えて柔軟に対応しながら、今も生き延びている。
弱肉強食よりも「環境適用力」ですね。
キジバトは鳩では珍しく〇〇をする
そんなキジバトくん。実は「鳩の中でも珍しく」グライダー滑空などを行う「ディスプレイ飛行」をします。
猛禽類によく見られるグライダー滑空ですが、鳩の中では「キジバト」がやっています。ドバトはやらないらしいです(ドバトのグライダー滑空の実例があればご報告よろしくお願いします)。
ディスプレイ飛行は求愛行動の一種と考えられているので、繁殖期には頻繁に見られます。
埼玉の鳥シラコバトは〇〇だった
<シラコバトは鷹狩りの鷹の標的(獲物)だった>
埼玉県の鳥で、マスコットキャラクター「コバトン」のモデルとなった「シラコバト」
コバトンの活躍により可愛らしいイメージのあるシラコバトですが、実は、獲物とし日本に輸入されたという経緯があるようです。
江戸徳川家の時代、埼玉県を中心に「御狩場」がありました。
ステータスだった「鷹狩り」をする場所として日本各地に作られたこの「御狩場」で、鷹が狙っていたのが何を隠そう「シラコバト」。
元々移動性の少ないことがシラコバトの特徴で、鷹狩りのために江戸時代に輸入されたのが最初だといわれています。
ちなみに日本では埼玉県東部から千葉県のみに局所的に分布するだけで、九州などで見られるのは中国などの大陸側からきたシラコバトだそう。
シラコバトは元々、乾燥した半砂漠の農耕地にいたらしく、これは御狩場の獲物として人間によって「飼育」されなかったら、生き延びれないということなのでしょう。
今回は以上です。また続報があれ お伝えしようと思います。
参考資料
となりのハト 身近な生きものの知られざる世界 | 柴田 佳秀 |本 | 通販 | Amazon
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