政府がある分野が進むべき方向性を決める際に「諮問(しもん)」という方法があります。
総務大臣が有識者に対し意見を求め、有識者たちが開く「会議」であれこれと議論し、再び総務大臣にその答えを伝える、という方法です。
諮問に対して有識者が返答することを「答申」と言います。
電波の利用などの情報通信分野の政策について議論しているのが、2001年に設置された「情報通信審議会」です。
他にも情報通信技術分科会、情報通信政策部会、電気通信事業政策部会、郵政政策部会、ITU部会などもその下部組織や関連団体となるものです。
2018年12月12日には、テレビ受信機、ノートパソコン、コンピュータのモニタ、電卓、電話、電子音楽機器などの「マルチメディア機器」に関する電磁波の影響についての答申がありました。
→総務省
この情報通信審議会は、法令の元で設置される「審議会」に分類されるものですが、他に、電気通信紛争処理委員会なども情報通信分野の「審議会」に当たります。
これと対をなすような組織に「研究会(タスクフォース)」がありますが、詳しい棲み分けなどは「ITmedia」の記事で確認してください。
情報通信分野の決まりごとのために、上に紹介した「審議会」とそれぞれの分科会や下部組織などで微に入り細に入り話されているということを知っている方がどれほどいるかわかりませんが、トヨタ会長の内山田竹志が会長を務める「情報通信審議会」のメンバーは以下になります。
〜以下総務省から引用〜
会長 内山田竹志トヨタ自動車株式会社 取締役会長
会長代理 西尾章治郞大阪大学 総長
委 員
- 相田仁 東京大学大学院 工学系研究科 教授
- 安藤真 独立行政法人国立高等専門学校機構 理事
- 石戸奈々子 特定非営利活動法人CANVAS 理事長・ 慶應義塾大学 教授
- 泉本小夜子 公認会計士
- 伊丹誠 東京理科大学 基礎工学部 電子応用工学科 教授
- 江村克己 日本電気株式会社 取締役執行役員常務兼CTO
- 岡田羊祐 一橋大学大学院 経済学研究科 教授
- 上條由紀子 太陽国際特許事務所 弁理士
- 熊谷亮丸 株式会社大和総研 常務取締役 調査本部副本部長 チーフエコノミスト
- 近藤則子 老テク研究会 事務局長
- 近藤弥生 足立区長
- 三瓶政一 大阪大学大学院 工学研究科 電気電子情報工学専攻 教授
- 須藤修 東京大学大学院 教授・東京大学総合教育研究センター長
- 竹村詠美 Peatix Inc. 共同創設者・アドバイザー
- 谷川史郎 東京藝術大学 客員教授
- 知野恵子 読売新聞東京本社 編集委員
- 東條吉純 立教大学 法学部 国際ビジネス法学科 教授(『条文から学ぶ独占禁止法』(土田和博、栗田誠と共著))
- 中澤清孝 全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会 副中央執行委員長
- 根本香絵 国立情報学研究所 プリンシプル研究系 教授 兼 量子情報国際研究センター長
- 野間省伸 株式会社講談社 代表取締役社長
- 平野愛弓 東北大学 材料科学高等研究所 主任研究者/電気通信研究所 教授
- 藤沢久美 シンクタンク・ソフィアバンク 代表(孫正義に見出される)
- 堀義貴 株式会社ホリプロ 代表取締役社長
- 三尾美枝子 キューブM総合法律事務所 弁護士
- 村山優子 津田塾大学 学芸学部 情報科学科 教授
- 森川博之 東京大学大学院 工学系研究科 教授
- 山内弘隆 一橋大学大学院 経営管理研究科 教授
- 米山高生 東京経済大学 経営学部 教授
〜引用終わり〜
正直誰がなんだかよくわかりませんが、唯一芸能分野からホリプロ社長の堀義孝が入っていることが意外でした。
〜以下こちらから引用〜
堀 義貴(ほり・よしたか)
ホリプロ代表取締役社長。1966年生まれ、東京都出身。1989年成蹊大学法学部政治学科を卒業後、ニッポン放送入社。編成部企画担当として数々のラジオドラマ・CM・イベントをプロデュース。1993年ホリプロ入社。テレビ番組・映画・音楽の制作、宣伝、マネジメント等さまざまな部門を担当し、2002年代表取締役社長就任。2013年より一般社団法人日本音楽事業者協会 会長、2017年より総務省 情報通信審議会委員も務める
〜引用終わり〜
なぜホリプロが情報通信に入っているのか具体的な経緯はわかりませんが、これを調べている際に、堀義貴が「バーチャルアイドル」を手がけていたことを知りました。
→日経トレンディネット
バーチャルアイドルとして1996年にホリプロが打ち出した「伊達杏子」。その娘「伊達あやの」が2019年2月にVTuberとしてデビューするそうです。
出典:日経トレンディネット
放送法改正の通信と放送の一体化に向けた「固定電話とインターネットの一体化」
そんな情報通信審議会は、インターネットとテレビ放送を融合・一体化するという政府の方針(放送法改正)に付随するような「固定電話」の携帯電話やインターネットのブロードバンドに適用(インターネット化)についても話し合っており、2018年の12月に総務大臣への答申があったようです。
これは2019年春頃に報告書としてまとめられ、電気通信事業法の改正に反映させることが目標のようです。
この電気通信事業法は2010年に孫正義が提唱した「光の道」構想を受けて始まった「包括的検証」という枠内で行われているもので、およそ4、5年ごとに改正がなされています。
2014年に安倍晋三主導で行った「日本再興戦略」の一環で決まった法改正が施行されたのが2016年で、その時に「3年を目処」に再び話し合いを設けるという決まりがあったため、2019年に向けて、2018年から様々な分野で話し合いが始まっているというものです。
2019年の電気通信事業法でもっとも話題なのは大容量通信を可能にした「5G」というもので、これは今から10年後の2030年を見据えた枠組みを決める意味があるといいます。
で、これはもちろん農業界のICT化にも関係し、総務省が掲げる2030年から2040年の未来を想定した資料「未来イメージ15」に描かれている未来像に合致するもので、現在行われている政治が、そのまま、数十年後を想定して行われているものだと言うことがよくわかります。
〜以下こちらから引用〜
〜引用終わり〜
ロボットやドローンを利用することで「人手不足や高齢化を解消する」という売り文句で、確かに便利になることは明らかです。
しかし、これが本当に全体にとって良いものとなるのか?という部分はこれから十分に議論していってほしいものですし、私たちも少しでも関心を持っていくことで、より良い方向へ向かわせるようにしなければいけないと思います。
これらの機器を導入できるのは資金が潤沢にある大規模農業・大規模農園に限られるはずですが、大規模に事業を展開できるのは当然、莫大な資金を持っている一部の人たちです。
それはある意味、全世界の食料がその人たちに握られているという状況にもなりかねません。
今から30年後の未来が、すでに政府では十分に議論されて、その方向を目指した政策がこれから次々と決まっていくことです。
インターネットをただ娯楽のために利用するのではなく、これらの政策ができる限り万人のためになるように、一人でも多くの国民がこの重要性に気づいて欲しいと心から願います。
国民一人一人が起こせる行動は非常に小さいものであっても、それらが集まることで政府の行動に影響を与えることは不可能ではありません。
およそ40年に渡る金持ち優遇政権(マクロン政権)に気づいた民衆がデモを起こしたフランスのようにならないためにも、今から私たちが様々なことを知る必要があると思います。
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