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人間の腸内と酵母菌の働きの類似がわかる「嫌気発酵」実験記録。ブドウを瓶に入れて酸素を断つと自然に酵母菌が繁殖!

少なくとも紀元前あたりの2000年以上前から私たちは酵母の存在を知り利用しながら生活してきました。

そんな酵母がどのように働いているのかを明確にするために、実験とともに、ここに記録しておきます。

まず、酵母の働きがもっと身近に確認できるのは、ぶどうを使った発酵によるものです。

潰したぶどうを酸素の少ないところで放置するだけで、酵母菌が、アルコールと二酸化炭素を作り出します。

この分解作用のことを「嫌気呼吸」といい、人間の腸内でも同じことが起こっています。

ですから、嫌気呼吸を見ると言うことは、体内で何が行われているかを見ていると言うことになります。少なくとも、その原理を目の前で確認にすることができます。

ぶどうがワインになる手順・原理・条件

ワイン製造には「自然発酵」というジャンルがあります。ぶどうを潰してワインを製造する手法で、他に一切添加しない方法です。

そして、そこでは以下のような、ぶどうと酵母菌による分解が起こっています。

ブドウ由来の微生物のうちカビやバクテリアは好気性なのでアルコール発酵が始まって二酸化炭素が発生するとほとんど死滅してしまいます。

酵母は嫌気性下でも生育しますが、ほとんどはアルコール耐性がないためアルコール発酵が進むと死滅して、最後にはアルコール耐性の強いSaccharomyces属が残るというのが筋書きです。

実際の赤ワインの仕込みでも発酵中期でH.uvarumやK.apiculataが消滅していることが証明されています。

[出典]機山洋酒工業株式会社

このサッカロミケス(Saccharomyces)属が酵母菌のことで最もアルコール耐性のあるため、最後まで残ると言うことです。

菌の分解「嫌気発酵」と「好気発酵」

腐敗も発酵も、ともに微生物の分解作業のことを言いますが、人間にとって有益なものを「発酵」といって、役に立たないものを「腐敗」と区別しています。

酵母菌がぶどうをワインにする「アルコール発酵」は酸素呼吸の代用として酵母が行うもので、酵母が生活のためのエネルギーを得るために行う反応・運動だと言われます。

つまり

  • 新たな空気の流入を断った「嫌気条件」=酸素を使わずに分解=酸化・エネルギー化。
  • 新たな空気を常時入れ込む「好気条件」=酸素を使って分解=酸化。エネルギー化。

となり、どちらも、微生物が糖分をエネルギーにしているということです。

パンを作るときの酵母=イースト発酵でパンが膨らむのは二酸化炭素が発生するためですが、その時にアルコールも発生しているということになります。

しかし、パンは密閉状態にすることは稀ですが、なぜ酵母菌が働くのでしょうか。

ぶどうの場合は、様々な菌がある中で、嫌気状態にすることで「酵母菌」が優位になるために、アルコール発酵が起こります。

パンの場合は、種菌としてドライイーストなどを入れることによって、好気条件下でも、酵母菌が優位になるからだと言えます。種菌を入れない場合は、その発酵力は非常に微弱なものになってしまいますが、小麦粉にもともと付いている酵母菌だけで発酵することも可能です。

麦と水と塩だけ(天然酵母さえ使わない)自然発酵パンの作り方

さらに、酵母菌は、酸素があっても活動ができる「条件的嫌気性菌」と言われているのも、このことからわかるのではないでしょうか。

ちなみに、英語でイーストという、酵母菌は自然環境では、果汁や樹液の溜まるところに多産し、淡水や海水中にもたくさん存在しています。

酵母菌による「エネルギー化」とは?

酵母菌がエネルギー化する過程で、アルコール発酵となり、人間にとっては有益なものとして「腐敗」ではなく、「発酵」と言われ、古くから利用されてきました。

では、そのエネルギー化とは一体なんなのでしょうか。

これは、あらゆる生物が代謝する時に行なっている「発酵・呼吸・光合成」から始めましょう。

「発酵」と「呼吸」は、最終的にアミノ酸(ATP)を合成し、それが、生命体のあらゆる場所へ運ばれて活力になります。

ちょっと専門的になりますが、これを水素(O)基準に考えると、

  • 水素を有機物に渡すと発酵
  • 水素を酸素に渡すと好気呼吸
  • 水素を無機物に渡すと嫌気呼吸

となり、それぞれの違いが明確になります。

そして、「光合成」は、植物が二酸化炭素を吸収して、酸素を合成している働きのこととしても知られていますね。

ちなみに、農業での堆肥作りの場合は、嫌気条件では失敗し、好気条件下では完熟堆肥が作られます。

そこでは、水素を酸素に渡すと言う条件が成り立っているからと言うことがいます。 

人体内の「嫌気発酵」は人間の生命維持に欠かせない活動。

先ほどもいいましたが、私たちの体内の腸でも、嫌気条件下で、微生物が働き、私たちが食べたものを、分解してATPを合成し、それが私たちのエネルギー・活力となっています。

そこには水素と酸素が大きく関与していて、試験管の中で水素と酸素を混ぜると「ポン」と言う爆発が起きる。あの爆発の源が、アミノ酸のATP(adenosine triphosphate)だと言います。

ATPは、アデノシン(adenosine)という物質にリン酸(triphosphate)が3つ(tri)ついた構造で、アデノシン三リン酸と呼ばれ、化学式にするとリン酸が「H₃PO₄」アデノシンが「C10H13N5O4」水素、リン、炭素、窒素、酸素がけつどうしたものです。

ATPの構造と加水分解

[出典]

人間は、女性の胎内から出た後、空気や食事などの環境からあらゆる菌に感染し、ほとんどが常在菌になるといわれます。

これらの菌が消化管下部の腸管内で、硝酸塩から亜硝酸塩を、硫酸塩から硫化水素を、炭酸からメタンを生成するように、糖類や脂肪などから、「酸素が奪われる反応、あるいは、物質が水素と化合する反応(還元作用)」によって、電子=エネルギーを得ています。

ここまでを簡単にまとめると、

人間のエネルギーを生産する微生物群は、体内に入った食物などを分解・還元して、電子としてエネルギー化している。

といえます。

これと同様に、酵母菌が糖類に反応してアルコール分解することも、微生物にとっては、エネルギーを生み出している反応ということになります。

これは、ある意味では、人間が日々働いていることとも、同様の意味を持っているように思います。

人間も人と会って、何かを成し遂げますが、それは、微生物が腸内で分解・還元をして、人体を循環させているように、人間もまた、大きな視点で見ると、地球という星を循環させていると言えるのではないでしょうか。 

ぶどうによる「嫌気発酵」の写真記録|18℃で20日程度

冒頭でご紹介した動画の他にも、実際に撮った発酵の様子を残しておきます。

10月21日から始めた発酵は、およそ18℃を基準に発酵を続けました。

しかし、実際には一桁にいく日もあるなど温度の差は激しくありました。

それでも概ね20日程度で、微弱なアルコールを有したぶどうの飲み物となりました。

ぶどう・嫌気発酵
ぶどう・嫌気発酵
ぶどう・嫌気発酵
ぶどう・嫌気発酵

 

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